第四章――――過去と今

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「あの子が住んでいた場所を訪ねて、近所の人から去年あの子が亡くなっていたことを聞かされたわ。お墓の場所を教えてもらって……あなたに会ったのは、そのとき」 「そのときからか? 今回の計画を考え始めたのは」 「そう……。十三年前、私は自分が知らないまま、優月にあまりにも大きなものを背負わせてしまった。そのことを……謝ることもできなかった。そのチャンスはあったはずなのに……また、私が臆病なせいで! 私が全部悪いのに……もう誰も、私が悪いと言ってくれる人はいない……! 許されたいんじゃないの。ただ、私の罪を認めてくれる人がいてほしかった……」 「……だからあんたは、儀式を行った。優月にそっくりな実紗希に事件を追わせて、真相に辿り着かせる。そうすることであんたは……実紗希に優月の代理をさせようとしたんだ。実紗希を、自分を断罪させるための人形に仕立て上げる……醜悪な儀式だ」 「……実紗希には悪いことをしたわ」 「っ……!」  伸司は大きく舌打ちして椿姫を睨みつける。 「『悪いことをした』だと……? ふざけんなっ! あんたがあの子にしたことを、そんな……そんなちゃちな言葉で済ませるつもりかっ!?」  椿姫は伸司の怒声に気圧されたようにたじろいだ。
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