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志野美夜子と初めて出会ったあの日から、約半年後――北校舎の屋上で、伸司は煙草を吸っていた。もちろん、鍵は予備のものを勝手に拝借しておいた。先ほどまで降っていた雨は既に止んで、夕日が少し眩しい。
理事長から頼まれていた頼み事の一つは無事達成できた。残るは幽霊騒動だが……あちらは美夜子たちがなんとかしてくれているのではないかという予感がする。
「あーっ! やっぱりセンセーだー!」
後ろから聞き覚えのある声がして、伸司は振り返った。美夜子だ。
「よう」
軽く手を上げて伸司は言う。美夜子は近くへ駆け寄ってくる。
「さっき階段上がっていくの見えたから、追いかけてきちゃった」
「黙っといてくれよ。煙草吸ってるってこと」
「んふふ、どーしよーかな?」
美夜子は上機嫌で笑っていたかと思いきや、急に様子がぎこちなくなる。
「どうした?」
「あ……えーっと、ほら……昨日は、ごめんね」
「あ? ……ああ、あれか。全然気にしてねぇよ。こっちこそ、偉そうにあれこれ言って悪かったな」
「せ、センセーは悪くないよ」
伸司は軽く笑って、話題を切り替える。
「それより、幽霊のほうはどうなった?」
「あ、それね! もー綺麗さっぱり、解決したよ!」
美夜子は新聞部の部室であったことをかいつまんで伸司へ伝えた。
「ふぅん。そんなことがあったのか」
「そういうわけだからさ、理事長さんにも、そのへん上手くぼかして伝えておいてくれない?」
「わかったよ……犯人もよく反省してるみたいだし、名前は伏せておく」
「ありがと! それでさ、センセーの調べてたことってなんだったの?」
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