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第8章
そうして
待ち望んでいた日がやって来た。
「つぐみ――電話」
「あ」
試験明けの
金曜の夜の事だった。
「天宮くんだって。知り合い?」
「……うん」
何食わぬ顔して
従兄弟の手から受話器を受け取ったけれど。
「もしもし?」
内心
口から心臓が飛び出そうなほどドキドキしていた。
「……もしもし?」
受話器の向こうは
深い闇を思わせるほどの静寂。
「……もしもし?」
三度目の正直でようやく
「――俺だ」
低い声が答えた。
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