80人が本棚に入れています
本棚に追加
正確には
その電話は天宮和樹からではなく
「弟が面倒掛けたらしいな」
「あ、天宮くん……!?」
天宮征司
本人からだった。
「そんなに驚くな」
「いや、だって……」
急な展開に
ただでさえ高鳴っていた心臓が
早鐘のように打ち始める。
「とにかく――その礼をするから明日家へ来い」
「ええっ……?いや、お礼なんて……」
コーヒーを一杯ご馳走しただけ――。
言いかけた僕は
『コツコツコツコツ……』
受話器の向こう
苛立たしげに机を叩く音に思わず口を噤んだ。
最初のコメントを投稿しよう!