平穏な日々

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あの出来事から1週間ほどが経った金曜日。 定時過ぎに仕事を終わらせた俺は、会社の前で須賀と合流する。 「悪い。待たせた。」 「いや、俺も今出てきたばっか。」 今日は大学時代の友人たちと飲む約束をしている。 同じ会社にいて退社時間もたいして変わらない須賀と、わざわざ別々に店に向かう理由はないので予め待ち合わせをしていた。 「じゃあ、行くか。」 そう言って須賀は駅に向かって歩き始める。 男二人なので、急いでいるわけでもないのに自然と歩くペースは早い。 「今日リョウは?大丈夫なのか?」 あの日以降、俺とリョウが毎日一緒に帰ってることは当然須賀も知っている。 というか、他の同期と何度か鉢合わせたこともあるから、同期全員が知っている気がする。まあ、事情を知っているのは須賀と西野だけだが。 「今日は西野の家で飲んで、そのまま泊まるんだってよ。」 「あらあら、女子会ですか。あいつら冷めてるように見えて本当仲良いやな~。」 「まあ、今日は積もる話もいろいろあるだろうし。」 「そうだよな~。」 数日前に、あの男への辞令が出たばかりだ。多分、今日は2人でその話をするんだろう。
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