求めていた温もり

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春も終わりを告げ、梅雨に入った頃。 元々忙しい時期であることに加え、想定外のトラブルとスケジュール変更がいくつか重なり、うちの部署は毎日バタバタとフル稼働。 おまけに、6月頭に配属された1年目の新入の教育係も受け持つことになり、 おかげで毎日残業続きで、リョウと並んで帰ることもできなくなった。 そんなクソ忙しい時に、俺は体調を崩した。情けないことこの上ない。 やるべき仕事にどれだけ追われても、新入教育をなあなあにはしたくない。 特に俺が指導してる山崎は、ちゃんと教えさえすればすぐ吸収するから、きちんと教育したい。 そう思ったけど、時間に限りはあるわけで。 だから、足りない時間は寝る食う休むを削って確保して、仕事や教育のための時間にあてた。 その無茶が体調不良という形で自分に返ってきたのだ。 まさに自業自得というやつだ。 社会人としてこれほど恥ずかしいことはない。 せめて、あと少しで過ぎ去るこの繁忙期を終えてからにしてほしかった。
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