求めていた温もり

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…………………………………… そういえば、子供の頃もこんな雨の日に熱を出したことがある。 学校から帰ってくると、なんだか体調が悪い気がして。熱を計ると、39度近くまであった。 母親に看病をしてもらい、薬を飲んですぐに眠りについた。 目が覚めたのは多分夜中だっただろうか。 俺が眠る前、そばにいたはずの母親の姿がなかった。 俺の父親は医者で、母親は看護師。 職業柄、夜中に親が不在ということは何度もあった。 その日も、俺が眠った後に急患があり、呼び出された母はすぐ職場へ向かったらしい。まあ、これは後日聞いた話で。 まだ子供で、おまけに熱で頭がぼーっとしていた俺にそこまで考える力もなく。 ただただ「お母さんがいない」と、そう思ったのだ。 目が覚めたとき家にたった一人きりだったわけではない。 5歳上の姉と、近くに住む叔母がそばで俺の面倒を見てくれていた。 もちろん、ずっと看病してくれた姉と叔母には感謝している。 しかし、何故か。 目が覚めたときに、当時の俺にとって一番身近な存在だった母親の温もりがなかったことが、酷く寂しく思えた。
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