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リョウから伝わる体温の暖かさに負け、今日あった出来事が俺の口からボロボロこぼれ出る。
マジな愚痴を言っている情けない顔は見せたくなくて、顔を見られないようにわざと抱きしめたままで話した。
「バカだね」とか言って笑われると思った。いっそのこと笑ってくれた方が、いつもの軽い雰囲気に戻せる。
だが、リョウは笑わずに俺のつまらない話を最後まで聞いてくれた。
そして、
「そっか…。大変だったんだね…。」
とだけ呟き、俺の体をギュッと抱き締める。
たったそれだけのことなのに、俺のダサくて情けないところも丸ごと全部受け止めてくれたような錯覚を覚える。それくらい心の奥底にジーンときた。
俺は心のどこかでずっと、この温もりを探していたのかもしれない。
もう、この気持ちは後戻りはできない。
熱に侵されながら、リョウへの想いが急加速するのを感じた、そんな夜だった。
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