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ある日の仕事終わりに、会社の玄関口でたまたま須賀と西野と会い、これから飲みに行くかという話になった。
そこにタイミング良くリョウも現れたので、当然のごとく俺たちは「4人で飲み行こう」と声を掛けた。
いつもならそこで「Yes」の返事が返ってくるのだが、その日のリョウの答えは「No」。
俺たちの誘いをバッサリと断った後、申し訳なさそうな顔をしながらも凄い勢いで駅に向かって行った。
そんなリョウの姿に、俺だけでは無く他2人も多少の疑問を感じるわけで。
後日4人で飲んでいる時に、西野が
「あの時もしかして、彼氏と約束してた?」
と軽いノリで本人に尋ねた。
俺も須賀も、西野と同じような予想をしていたので、リョウの返答を聞いた時はけっこう驚いた。
「彼氏と約束じゃなくて…。てか、付き合ってる人いないし。
えっと、その。
母親の命日だったんだよね、あの日。
どうにか暗くなる前にお墓参り行きたかったのと、実家にも寄ってきたかったから急いで向かった。」
その時のリョウの表情が、俺の心に深く突き刺さった。
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