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――ガラガラガラッ。
「お、遅れてすみませんッ!!」
静寂な教室に響く息を切らした叫び声に近い声。
生徒たちの「あっちゃ…」「最悪なタイミングに…」といった目で、遅れて入ってきたある生徒を見る。
そのある生徒とは、私・神谷 乃咲(かみや のえ)のことである。
「……」
私は膠着した空間をなるべく裂かないようにゆっくり歩きながら席へ着いた。
本当にマズイ状況に乱入してしまったと、この上なく後悔している。
「(これは、確実にさっきまで先生がみんなを威圧してたな…。私のバカァ)」
キンコーンカンコーン。
「今日の授業はここまで。みなさんお疲れ様でした」
爽やかな声で先生が授業を終えると同時に、みんなの魂がようやく解放される。
「あと、神谷さん」
「……はい」
「あとで職員室に来てくださいね」
そう言って先生は教室を出て行った。
私はいろんな意味で終わったと思い、しぶしぶと席を立ち教室を出た。
「あいつ……殺されるな」
「ああ、そうだな」
教室に残されたみんなは私を死刑囚のように見ていた。
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