0人が本棚に入れています
本棚に追加
リビングに入ると、テーブルの上に箸やらお皿やらを並べている息子と目が合った。
「パパ、遅い!!」
「ごめんごめん」
ぷーっと膨れっ面をしている息子の頭を撫でて、バックやらを部屋に置きに行く。
ネクタイも上着も放り出して、家着を着た。
「パパにおかえりなさいって言ったの?」
「あ……」
リビングからそんな声が聞こえたあと、息子が走ってきた。
「パパ、おかえり!ごはん!!」
「ただいま、うん、ちょっと待って」
足にしがみついて喚く息子をなだめながら、スーツをハンガーにかける。
それをみた息子は、今度は僕の腕を引いてリビングへと急がせる。
ばたばたとリビングに戻ると、湯気のでたご飯が並んでいた。
息子に椅子に座らされ、彼女はそれをにこにこして見ていた。
「いただきます」
皆で手を合わせて言い、さっそくとばかりに息子がぱくりと一口。
「おいしい!」
「あはは、ありがとう」
とられる前に、と言わんばかりに口の中に収めていく息子。
その様子を微笑んで見ている彼女。
僕は、噛めば噛むほど、じんわりと温もりと優しさが広がっていく気がした。
最初のコメントを投稿しよう!