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権現通りから徐々に灯りが消えていく。
その強い雨のせいでいつもより早めに閉まる店が多い。
彼女が勤める店も例外ではなかった。
客、従業員と思わしき人々が一人、また一人と店を後にする。
そして店の灯りが完全に消え、彼女を奥へと連れ去った男も姿を現した。
男が鍵を閉めその場から離れると、私は最新の注意を払いながら店へと近付いた。
見たところ、その店の出入り口は表と裏に一つずつしかない。
私は彼女が奥へと消えてから片時もこの扉から目を離していないが、彼女は出てこなかった。
間違いない、彼女はまだ店の中にいる。
私は店の裏口に回り、扉の足留めに使われているであろうブロックを手に取った。
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