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案の定、そこには力なく項垂れた彼女がいた。
突然目の前に現れた私に対して何の反応も示さない程、弱っていた。
「と、突然すまない…私は神代と言う者で…決して怪しい者ではなくて…」
無反応な彼女との間にある空白を恐れ、次々と言葉を紡ぐが、どれも意味を成していない。
それどころか、余計に怪しく思われてしまうような事ばかり口走ってしまう。
「君が泣いているのが見えて…何か力になれないかと思って…」
彼女はまるで私になど期待していないと言わんばかりに目を反らす。
しかし彼女がここから抜け出したいと思っている事は明白だ。
そもそも閉店した店に一人で残されている事自体が異常なのだ。
「私なら…私なら君をここから連れ出す事が出来る…君に自由を与えられる…」
私がその言葉を発した直後、今まで無反応だった彼女の表情が変わった。
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