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その古びたホテルはこの歓楽街のを発展を支えたと言っても過言ではない、歴史あるホテルなのだろう。 建物の古さと相反して、室内は中々に清潔である。 私達はびしょ濡れになった服を着替え、ホテルに置かれていたバスローブを身に纏っていた。 ドレス姿とは違い、身体の細部に至るまで彼女のボディラインが露になっている。 私はその美しさを直視出来ず、思わず目を反らした。 自分の鼓動の音が体内で響き、やけに五月蝿かった。 ただ時計の音だけが木霊する静かな部屋。 「き、君の事は…何て呼べばいいかな?」 その沈黙に耐えきれず、私は口を開いてしまった。 ただ、彼女は何も答えない。 無理もない、今まで受けてきた仕打ちを考えれば、今日初めて話す私に心を開くなど到底考えられない。
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