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俯く彼女に恐る恐る目をやると、丈の短いバスローブから、すらりと細くしなやかな足が無防備に露出していた。
決して凝視していた訳ではないが、私の視線はある一点で止まってしまう。
僅かに覗く内太股に、小さなタトゥーがあった。
ALICE…?
私の視線に気付いたのか、彼女は慌てて姿勢を変えた。
「いや、あのっ!別に見ていた訳ではなくて…その…たまたま目に入ったというか…」
これではまるで見ていたと言っているようなものではないか。
あれだけ仕事における人格を繕ってきた私も、不馴れなものに対してはこの有り様だ。
確かに恋愛という恋愛はしてこなかった。
自分はそういうものに興味がない人間なのだと思い込んでいた。
妻に抱く安心感こそが恋愛感情なのだと…
しかしどうやら違ったようだ。
私は今、自分を取り繕う事さえ出来ない程、感情を乱されている。
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