【2】

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完全に乾いたわけではないが、袖を通せるくらいにはなったシャツを羽織り、静かに部屋を出ようとする。 「ここのお金は払っておくから、後は君の好きなタイミングで出るといい」 私は彼女へ視線をやる事なく、扉に向かって話しかけた。 これでいい、私に出来るのはここまでだ。 彼女が望んでいない以上、深入りするわけにもいかない。 腹立たしさも収まり、寂しさを感じながらも私は扉をゆっくり押した。 その時だった。 ガタッ… 物音に反応し振り返ると、そこには手を伸ばす彼女の姿があった。 分からない… 私にはこれ以上、何も求めていないのではなかったのか? 相変わらずその目に宿るのは、悲しみと不安の色。 ただ、その手を放っておく事が出来なかった。
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