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私は今日もアリスの元を訪れていた。
どれだけ世界が変わろうが、アリスだけは変わらず私を受け入れてくれる。
乱れた気持ちを静めるのに、これほどまでの特効薬はないだろう。
アリスはしなやかな腕で私を優しく包み、頭を撫でながらただ私の話に耳を傾ける。
こうされる事で、徐々に落ち着きを取り戻す事が出来るのだ。
しかし、その日乱れた気持ちが落ち着く反面、今度は背徳感が押し寄せてくる。
アリスの存在に不安を感じているのではない、これは私自身に対してのものだ。
今のバランスはいつまでも保つ事は出来ないだろう。
アリス以外の全てが日々変わっていく。
そんな環境の変化はやがて平穏のバランスを崩し、私から全てを奪うような気がしてならないのだ。
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