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「次に会えるのは半年後かぁ」
ソエルが呟きながら、歩き出す。
そんなソエルの背を眺め、再び意を決したメルトが呼びかける。
「ねぇ、ソエル…」
「ん?なに?」
「これを貰って欲しいの!」
メルトは震える手で銀の装飾品を差し出す。
「え、でもこれって大事な」
「うん。私の家に伝わる盾の欠片、私の宝物」
それは初代トリトーン卿が使用したとされる防国の盾、その欠片を加工した装飾品。そして欠片と言えど伝説の遺物であり、計り知れない価値がある。
「もし受け取るのが重いって言うなら預かるだけでもいい…!」
ソエルにはメルトの気持ちがよく分からない。
「ただ私も、(ソルナに負けないくらい)繋がっていたいから!」
ただ、その必死さに、気迫に気圧される。
「分かった。じゃあ次に会う時まで預かる。それで良いかな?」
「うん。約束」
二人の小指が静かに結ばれた。
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