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我が家の家事を担当している私は部活動というものに入っていない。その代わりに空手の道場に通っているので、私にとってはそれが部活のようなものだ。
だから、学校が終わったら早く帰らなくてはならない。
一目散に下駄箱から下ばきに履き替えて、スーパーに向かわなくちゃならないのだけど……。
「…………いたっ」
ローファーに入れた足に鋭い痛みが走る。
何これ!?
こんなことは初めてで、不自然な動きをした私に友達の二人が振り返る。
「ちょ……、どうしたの午空!」
「靴の中に……何かが入っていたみたい」
急いで脱いでみると、ローファーの中には金色に輝く画びょうが入れられていた。古典的な嫌がらせの手口に、桂子と朱莉が顔を歪める。
恐らく近くの掲示板から拝借されたものだろう。言葉を失ってしまった私の代わりに、朱莉がぶちっとキレた。
「よくもまあこんな真似ができるものじゃないか……」
そのおどろおどろしいオーラに私が身を引くと、下駄箱の内部を漁っていた桂子が叫ぶ。
「瞳! 朱莉! ここにメッセージカードがついてる!」
「メッセージ?」
恐る恐る私が覗き込むと、そこにはシンプルな言葉が書いてあった。
「『日向君にこれ以上近づくな……』」
「脅迫だな」
「うん、脅迫だね」
風化した灰のようになった私が立ち尽くしていると、おっかない形相になった二人が歯ぎしりをする。
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