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出社すると既に先生も斉藤くんもいた。
「おはようございます。早いですね。」
「おはよう。永瀬君。」
「おはようございます。永瀬さん。」
穏やかな空気を漂わせる先生と斉藤くんは、少し似ている。来月号の特集記事の題材を話しているが、あーでもない、こーでもない、それは怖そうだからダメだと、なかなか決まらない。
「先生も斉藤くんも。ちゃんと仕事して下さいよ。じゃないと…いいですか?僕が持ってきたネタの中で決めますからね。」
「えっ!斉藤くん…マズいね。」
「はい…。凄く、マズいと思います。」
顔をひきつらせる2人を見て、クスっと笑うと余計に嫌な顔をする先生と斉藤くんに、だめ押しをする。
「あっ、そうだ。歴史のある洋館とかいいですよね。先生、斉藤くん。怪しいネットカフェとかお寺とかはダメですよ。
僕は編集長に呼ばれているので会議室に行ってきます。」
「ああ、いってらっしゃい。って、永瀬君!嫌がらせなの?洋館なんて嫌だからね!こらぁー聞いてんのかぁ ぁ。」
先生の叫びを背中に浴びながら、思わずぷっと笑って会議室のドアを開けた。
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