第1章

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そう思っていたら、編集長が真剣に話し出した。直球だ。流石、編集長だ。僕が余計な事を考えなくても良かったんだと反省する。編集長の嘘も隠しもない説明が、先生と斉藤くんを恐怖で怯えさせたとしても、伝えないといけない事だから、そしてその重大さに、きっと先生も斉藤くんも腹を括って同意するに違いないんだ。やっぱり凄い人ですよ、編集長は。 「編集長、それって、斉藤くんが記憶を失った原因もわかるかも知れないって事ですか?」 「ああ。多分、可能性は高い。俺は繋がりはあると思ってるよ。」 「菊野様…」 先生が小さく呟いた。人形の座談会なんて誰が聞いても恐怖しかない。大丈夫だろうか…。斉藤くんも顔が強張って、どうやら想像しているようだ。 「さ、斉藤くん。どうする?やる?」 「は、はい。ま、松田さんは…」 「お、お、俺もやるよ。」 「先生!斉藤くん!大丈夫ですよ。僕が全力で守りますから!」 「永瀬君っ、それって…危険て事…?」 しまったぁ~!善かれと思って言った事が裏目に出てしまった…。 「いえ。未知の世界でする…」 かんだ…。 「でする…って…ぷっ!ふふふ、ふはは、永瀬君」 「どうした、永瀬。お前…ぶははは」 「ぷっ、永瀬さん、珍しいですね。」 くすっ。実に僕らしくない事だけど、まあ結果よしという事で笑って下さい。 …凄く恥ずかしいけど。 取り敢えずは先生と斉藤くんに話せて良かった。第一段階はクリアだ。
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