依頼者は過去を語る

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 だがその翌日、その女はまたそこにいた。服装も昨日と同じだったのですぐにわかったのだった。時間は昨日よりは遅くて夕方近かった。まだこの時期、日の暮れるのは早い。こんな時間になにをしているのか、ずっとここにいるわけはないし、と謎が頭をかすめたが、もちろん番藤にとっては無関係であったので思考もそこで停止した。  ところが、三日目になっても彼女はそこにいた。なにをしているでもなく、ただベンチにすわっていた。  さすがに不審に思ったが、それでも声をかけなかった。他人のことなど自分には関係がない。今の自分にとって大事なことは赤の他人の謎を知ることではなかった。だいたい、知ってどうなるというのか。営業成績を上げることが目下の最優先事項だ。それ以外に関心をよせる余裕はないのだ。  四日目、五日目は休日のため、その公園の前を通ることもなかった。その間、女のことを思い出すこともなかった。  しかし。  休日明けは雨だった。
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