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先野・三条ともこの興信所所属の雇われ探偵なのだ。
「いや、ちょっと失敗して、社長に始末書を提出してきた」
「失敗……」
「浮気調査で追跡中にビデオカメラを落としてしまったんだ」
「え? なんでそんなことに?」
「いや、たまたまターゲットと同じ方向に歩いていた無関係の男にビデオ撮影を気づかれてしまい、追いかけられたんだ。しかし、さすがに鍛えているおれだからな、10キロを走って逃げ切ることができた」
「10キロも走ったんですか?」
「しつこいやつだった。執念深いヘビのような男だったな。だが――」
先野は胸を張る。
「探偵なら、普段から体を鍛えて、いざというときに対処できる体力を養うべきだな」
へんな自慢だった。
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