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三条は小さく肩をすくめ、自分のデスクへと戻っていこうとした。
「あ、三条さん」
と、ふいにマネージャーに呼び止められた。
「新たな案件があるんだけれど、任されてくれない? あした、依頼者がくるの」
背の高いマネージャーは、オネエ口調でそう言った。一見頼りなさそうだが、仕事はきちんとこなす男だった。スタッフ全員がどの依頼を受けているか、どの程度の進捗具合なのかを完璧に把握していた。
「はい、わかりました」
三条ははきはきとこたえた。探偵は、通常、二、三件の調査を掛け持ちしていた。三条は、きのう一件の調査が終了して、手持ちは一件だけだった。余力はじゅうぶんあるとマネージャーは判断した。
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