『罠』

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「一体全体何処にあるんだ…」   康介が息を切らせながら漏らした言葉が、夕暮れ時の雑踏の中に吸い込まれてゆく。 半日必死なって探し回ったが、それはまだ見つからなかった。 今では世界的にも名だたる合羽橋道具街、ここに来れば調理器具は勿論、ありとあらゆる料理に関する道具や食材などで溢れかえっていた。 昼間は活気のある道具街も、夕方5時近くになると一斉に店じまいの支度に入る。 ガードレールに腰掛けて項垂れてる康介の前を、イヤホンをした女子高生達が足早にどこかへと急ぐ。 汗で溢れそぼった身体が、アスファルトに円く染みを作っている。 「ダメだ早く見つけないと…絶対に」 康介はそう独り言を呟くと、またそれを探しに両足を踏ん張った。
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