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先生が使う最近のギャグは何故か面白い。それも普段あまり冗談を言うことのない真面目な先生なら特にだ。普段の真面目さとのギャップというものにハマってしまうのだろう。
俺、伊吹 圭(いぶき けい)は笑っていた。高校に入学してからもうすぐ1年が経つ。今日は終業式。3年生はもうとっくに卒業式を終え、この私立秋華学園(しゅうかがくえん)からはどこか物足りない、そんな空気を感じさせられる。
この学園は1学年10クラスあり、それぞれの教室には約40人が詰め込まれている。なかなかの規模を持つ学園だ。この一年ここに通っただけではその人数の多さと、人のタイプの多さが把握し切れない。
そして最も特徴的な要素が、この学園には美男美女が多い、というものだ。いやむしろ美男美女しか受け入れてないのでは?とまで思う。テレビに出始めたアイドルなんかもいる。そのアイドルがこの学園では普通よりちょっと下くらいの扱いである。
そんな学園の生徒会というものが普通に選挙で決まるわけが無い。いや、選挙であることに違いはないのだが、立候補して演説して、などといった一般の学校とは少々異なる。なにが言いたいかと言うと、そう、俺は学園内人気ランキングで2位となり生徒会副会長に選ばれたのだ。
ちなみに会長はあり得ないほどの超絶美女なので、実質男子のトップというわけだ。これが生徒会の代が変わる半年前のことである。突然何言ってるんだといった感じだがつまりは、俺は顔が良いということ。
それもほぼ完璧クラスに。
正直自慢ではある。だが怒らないで聞いてほしい。こんな完璧クラスのイケメンであるこの俺も、この世界では主人公になれなかった。俺の親友、いや、この世界の主人公は俺をこう呼ぶ、「王道イケメン主人公」と。
もうお分かりいただけただろうか。彼はいわゆる脇役系主人公。イケメンを妬み、ハーレムを羨望し、親友である俺に劣等感を抱いている。そんな彼がこの世界の主人公。これからさらに語っていこう。
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