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玄関へ行くと、斑がほっぺたをリスのように膨らませて立っていた。
「遅いよー」
そう言って俺を見ていた斑の目が、一点で停止する。
「あっ!」
突然の大声に、俺は心臓が止まりそうになった。
「ど、どうしたんだよ」
「ネクタイ……忘れた」
そう、斑はいつもこんな調子なのである。
本人は断固否定しているが、誰が見ても明らかに天然だ。
こんな奴一生彼氏できないだろ、と思っていた俺だったが、読みが大きく外れた。
まあ、性格はアレだが、斑は確かに可愛いと思う。いや、冗談抜きで。
結局、斑が一度家に帰ったせいで、二人とも余裕で遅刻した。
途中までは一緒に歩いていたが、さすがに一緒に歩いているところを斑の彼氏に見つかるとマズいので、時間差で学校に入った。
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