#1 幼馴染と隠しごと

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浩介と斑は同じクラスである。 斑は学校でもその天然っぷりを存分に発揮した。 下足のまま校舎に入ったり、逆さまでノートを取っていたり、給食の時などストローを逆向きに使って牛乳を飲み、舌を切ったりもした。 勉強の方も、あまり芳しくない。 だが地域の地理にだけは妙に詳しかった。 言うのを忘れていた。 俺たちは県立狭霧(さぎり)高校の2年生だ。入学から二年経ち、やっとこの学校の校風にも慣れてきたところだ。 校訓は、『事上磨錬(じじょうまれん)』だ。“座学ではなく、実際に行動して学べ”という意味らしい。 “じじょ”で切ると、何やら二人目の子供が生まれそうだが、正直ちっとも面白くない(わかる人だけわかってください)。 校訓のわりに、授業は座学がほとんどである。 創設者が聞いたら、悲しむだろうなぁ……
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