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その時のことは、今まで何度も斑に聞いた。
でもその度に、斑は話をはぐらかしてきた。
いつしか俺も、そのことについてあまり詮索しなくなった。
季節は流れ、6月某日。
それはとても蒸し暑い日だった。
俺は斑の家に来ていた。
斑の家は神社である。
あれ?ということは……?
そう、お察しの通り、斑は“巫女さん”なのだ。
『狭霧神社』の境内には、樹齢1000年を超える太い御神木がある。斑が言うに、その御神木には神が宿っているらしい。
まあ俺はそんな話信じちゃいないが。
俺と斑は、その木陰で休んでいた。蝉がやかましく鳴いている。
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