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笑いながらふわふわの首元をくすぐると、気持ちよさそうに俺の指先にじゃれ、「ナーーー」と鳴く。
この可愛い仕草がこれからは村上さんとその家族を笑顔にするのだと思うと、誰よりも先にこいつと一緒に過ごした一昨日の夜がちょっぴり誇らしく、懐かしく思えた。
そしてちょっぴり、妬けた。
――またな。
元気で。また、いつか。
近づいていくにつれ、亜優の瞳いっぱいに涙が溜まっているのが分かった。
目の前で立ち止まり、ミミぴょんの身体を差し出す。
「にゃ」
亜優に抱かれたミミぴょんは前脚を伸ばし、髪の先をちょいちょい、とつついた。
ふふ、と泣き笑いの表情を浮かべた亜優の目から、ポタリ、と最初の一粒がこぼれ、それを合図に次々と涙が伝い落ちていく。
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