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「わかった。いいよ」
『え、マジで?』
「うん。どうせ――」
『おいっ、いいってよ!拓己行けるって。よかったな、亜優!』
――どうせ暇だし、と憎まれ口を付け足しておこうと思ったけれど、どちらにしても俊輔の耳には届きそうもなかったので、諦めた。
いつもの坂の下で待ち合わせる約束をして、電話を切る。
「ずいぶんご機嫌ね」
子機をホルダに戻しに行くと、俺の表情を覗き込み、母さんがからかうように言った。
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