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「もう少しゆっくり話していたいところなんだけど……」  村上さんは腕時計を見て、申し訳なさそうに言った。 「今日は大切な用事があって、すぐに戻らないといけないんだ。 せっかく来てくれたのに、申し訳ないね」 「いえ」 「亜優ちゃん。最後に、抱っこするかい?」 「……」  はい、と即答するかと思ったけれど、亜優は唇をきゅっと噛みしめ、首を横に振った。 「いえ、……。……このまま、バイバイします」  俺も村上さんも、意外な言葉に目を見開いた。
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