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「いいの?」 「……はい……」  亜優はキャリーケースから目を逸らしたまま言った。 「抱っこしたら、離れたくなくなっちゃうから……」 「……」  村上さんは俺の顔を見て、もう一度亜優の顔をじっと見つめて、「わかった」と言った。 「それじゃ、……このまま行くよ。 うちは駅からすぐのところだし、近くに来た時は寄って、顔を見せてやってね」 「はい」 「帰り道、気を付けて」 「……はい。さようなら……」  村上さんが亜優に、続けて俺にも手を上げて見せ、背中を向けて歩き出す。
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