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「でも、母さんもお前以上に落ち込んでたよ」 「え……なんで」  戸惑って顔を上げた俺に、父さんは優しい目で笑いかけた。 「普段から口うるさくしすぎたせいで、拓己がわたしに大事なことを話してくれなくなっちゃったって。しょんぼりしてた」 「……」 「まあ、……これは親としての永遠のテーマなんだろうけどな。 『言ったら怒られるから言わない』っていうのは、子供の当然の心理だと思うし。 ――ただ……。 拓己はしっかりしすぎてて、無理してでも自分一人で何とかしようとするところがあるから。 そこは父さんも少し心配かな」 「……」 「あんまり急いで大きくなろうとするなよ。 みんないつか、嫌でも大人になっちゃうんだからさ。 背伸びせずに、今のうちに遠慮せず甘えとけよ」  父さんの手が、濡れた俺の髪をくしゃっと撫でる。  何だか照れ臭くて、俺は何も答えずに黙って水鉄砲を連射した。
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