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村上さんは少しも嫌な顔をせず、「わかった」と優しい笑顔を浮かべ、キャリーケースを足元に下ろした。
亜優の方に引き返しながら、俺は腕の中に抱えたミミぴょんの耳元に小さな声で語りかけた。
「――ちゃんとありがとするんだぞ」
大きな目が、じっと俺の顔を見上げている。
「亜優に見つけてもらって、こんなに可愛がってもらって、しかも一緒のお布団で寝てもらえるとか、――お前、すごい幸せモノなんだからな。分かってんの」
「にゃー」
ミミぴょんは俺の言葉を理解したかのように相づちを打ってから、いきなり俺の鼻にえいっと猫パンチを繰り出した。
「――こら。痛いよ」
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