終章

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「亜優。……着いたよ」  鉄の棒にしがみついていた亜優が、恐る恐る顔を上げる。  その目が、一気に輝きを増した。 「――わ。きれい。……すごく、きれい」  圧倒されたように口を開けたまま、ぐるりと空を見渡す。 「すごい……。ここから見たらほんとに、こんなにきれいなんだ……」 「だろ。富士山も見えるよ。ほら」 「えっ、どこどこ。――あ、ほんとだ!」  キャッキャとはしゃぐ顔を見て、やっぱり誘ってみてよかったなと嬉しくなった。
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