321人が本棚に入れています
本棚に追加
その夜。
久しぶりにバスの乗ったせいか、体がゆらゆら揺れる不思議な夢を見て夜中に目が覚めた。
ずいぶん長く眠ったように思えたけれど、時計を見るとまだ十一時。
布団に入ってから一時間ちょっとしか経っていなかった。
水を飲もうと部屋を出て、階段を降りようとしたその時、リビングから父さんと母さんの話し声が聞こえて来た。
二人は時々、こうして遅い時間まで一緒にお酒を飲んでいることがある。
「――なるほど。それで二人で逗子に行ったのね。猫を届けに」
「うん、そういうこと」
どうやら父さんが、さっき俺がお風呂で話した内容を母さんに伝えているところらしい。
それは別にいいんだけど、――さすがにその場に本人が居合わせるのは照れ臭いわけで。
最初のコメントを投稿しよう!