本物と偽物の狭間

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物真似や歌真似が好きで、そんなTV番組をよく視ていた時期がありました。 昔は本物にどれだけそっくりかということが競われていたと思うけれど、 徐々にデフォルメが進み、 いかに面白いかという世界に物まねの基準が変化してきたと思います。 あるレベルまでのデフォルメは面白かったのだけれど、 ある日突然、そのデフォルメ具合を苦痛に感じ、物まね番組を視なくなりました。 昔の物真似が求めるのがリアリティーなら、 今の物真似が求めるのは面白さ……コメディーでしょう。 そっくりなものなら本物を見ればいいではないかという意見もありますが、 偽物が本物に近づく技術力を見ることに人は感動を覚えていたわけです。 絵画の写実も、写真が生まれてからは、不要になった。 ましてや3D写真や動画を作ることができる現代では、 写実的な絵画という物の存在価値は下がった。
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