本音パーティー

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松本清張原作の『砂の器』という小説が、何度も映画化、ドラマ化されています。 私が好きな作品は、1974年公開の映画版ですが、 近年、ドラマ化されたものは原作と微妙に設定が変わってしまって、 そこに無理があるために面白味を欠いています。 変えられているのは、物語の前提にあった、 かつては不治の病で感染すると言われていたハンセン病という病の部分です。 おそらく差別問題という観点から、近年の作品では排除されているのです。 ハンセン病は、実は治療可能な病だったにもかかわらず、 ながらく社会がそれを理解せずに、風評的に患者を差別し続けてきたのです。 そういった話をドラマに盛り込むと、話がややこしくなるとか、 あるいは、患者さんの心を傷つけてしまうとか、 あるいは、新たな差別を助長するから臭い物にはふたをしておけ、 といった判断から、別の病気などに置き換えられているのでしょう。
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