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エマは微風に揺れるロウソクの灯りを見詰めながら、ゆっくりと語った。
「一部の公安の中じゃ、あんたは有名人。なんせ誰も手を出せなかった極神島を攻略した張本人だからね。
あたしの中じゃ、あんたはヒーロー。いつか会って武勇伝を聞かせて貰いたいと思ってたくらい。
まぁ、謀らずもこんな所で対面出来るなんて夢にも思って無かったけど。ハッ、ハッ、ハッ」
この人、見た目は誰よりも女らしく、透き通るような澄んだ声をしてる。しかも凄い美人だし......
でも話し方は、驚く程に男性染みてる。とても女性と話しているようには思えない。
ここまで見た目と話し方にギャップがある人が居るのだろうか。驚きだ。
まぁ、どうでもいいような話ではあるが、少し面食らったエマであった。
「ああ、そうそう......昼間は顔面いきなり殴っちゃってすまなかった。
あたしも最近やっとここで信頼を勝ち取って、上の方にも入り込めるようになってきた所だった。
あんたが、どう戦ってくるかは解らなかったけど、あそこで新人相手に無様な負け方する訳にはいかなかったんだ。
まともに戦ったら、あんたなんかに勝てる訳ないからね。ほんとにごめん!」
珠は悪びれた顔をして、平謝りに謝った。
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