第十二章 アマゾネス

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「いいえ、大丈夫です。見た目は激しく見えましたが、後に尾を引かないような殴り方をしてくれたので。 そんな事より......さっきはすみませんでした。あの部屋へ先に忍び込まれてたんですね。仕事の邪魔をしてしまいました」 秋葉秀樹と龍貴の面談と言ったら、新たな情報を入手するのに、またと無いチャンスだっただろう。 そんな絶好の機会を自分はぶち壊してしまったのだ。謝っても謝りきれるものでは無い。 エマは頭を垂れ、申し訳無さそうな表情を浮かべていた。 「もういいよ。済んだことだし......まぁ、今日は本部に連絡出来るような事は何も無いな。 ここのところ鳩達も忙しかったし......少し骨休め出来てちょうど良かったんじゃ無いかな」 珠は薄ら笑みを浮かべながら、徐に視線を上に向けた。 「この鳩達はもしかして......」 エマも珠に習い、頭上の鳥籠に視線を向ける。 鳩達も幾分落ち着きを取り戻したようだ。羽ばたく事も無く、リラックスした様子だ。 「この場所は知っての通り、電話は圏外、ネットも繋がらない。 尼達を外界と隔離すると言う意味では、実に好都合な環境と言えるだろう。 この鳩達は、あたしと本部を繋ぐ命綱みたいなもの。いい働きしてくれんだわ。 本部とここを短時間で往き来出来る選りすぐりの強者ばかりさ。頭が上がらないよ」
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