第十二章 アマゾネス

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エマはしっかりと珠の目を見詰めながら、撤退の意思が無い事を明確に宣言した。 「エマさんが、誰に頼まれたのかは知らない。でもあたしは、国家から使命を受けてここに来ている。 これはあたしからのお願いじゃない。国家からの命令と理解して欲しい。解ってくれるよね。 今日はもういいから、明日朝一番でこの寺から去ってちょうだい。 幸いにも、エマさんはまだこの寺に来てから間も無い。何も知らない人間が去るのを、連中も阻止したりはしないでしょう」 珠は少し強ばった表情でエマに通達した。 「珠さん......出来れば言いたく無かったんだけど。でも言わなきゃあなたも納得してくれなそうね。 私もあなたと同じ。国からの依頼でここにやって来ています。 直接依頼して来たのは、公安の神谷局長。つまり、あなたの直属の上司です」 「なっ、何だって?!」 珠は驚きを隠せない。思わず目を大きく見開く。 「嘘は言ってません。嘘だと思うなら、その鳩を使って聞いてみたらどうですか?」 それに対しエマは至極冷静。いや、むしろ冷淡な物言いにすら感じた。 珠の顔は見る見るうちに、赤味を帯びていく。気付けば、阿修羅の如く、顔は激しく歪んでいた。 「嘘だ! あたしは毎日的確に情報を入手して、次々とこの鳩達を使って本部に情報を流してる。 あたしだけじゃ物足りないとでも言うのか?!」
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