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「開店するんじゃ、しょうがないわね。さぁ、奥に移動するわよ。早くしなさいよ、この穀潰し!」
青島麗子はそうなじりながら、未来の背中に蹴りを見舞わせる。
バシッ、バシッ!
「ひえー!」
いつ終わるやも知れない地下での軟禁生活。正直三人の精神状態が限界に達していた事は事実だ。
しかし命が危ぶまれるこの状況下において、わがままばかりも言ってられない。
ポールは二人の警護をエマから固く命じられているのだ。
性格的にはこんな地下で隠れているよりも、圭一や美緒のように、外で暴れまわる事の方が性分とも言えたが、青島麗子は直接的な仕事の依頼者であり、東篠未来はこの事件のキーマンときている。
出て戦うよりも、居城で主の留守を守る事の方が、むしろ重要であり、また難儀とも言えた。
幸いにもまだ敵は、直接的にここへ仕掛けて来てはいない。
ただもし、留守中に攻めて来られたら......
自分にこの二人を守り切る事が出来るのだろうか......
徐に周りを見返して見る。
ひ弱な老女と、軟弱な青年がたった二人だけ。
いずれもバトルと言う事に関しては無縁の素人。逃げる事位しか能が無い雛鳥と言えよう。
無敵のエマはここに居ない。
爆発的な破壊力を持つ圭一も居ない。
そして精密機械の頭脳を持つ美緒も居ない。
ふとすると、柄にも無く俯き加減になってしまう。そんな気弱な自分とポールは必死に戦った。
二人を守るのは自分しか居ない!
ポールは遠くで戦う三人の仲間の顔を思い浮かべながら、自らを鼓舞した。
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