第十三章 白昼の悪夢

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事務所の応接ソファーにだらしなくふんぞり返る穴熊三人衆。 彼らのこの時間における唯一の仕事と言えば、各所に配置された防犯カメラのチェック位だ。 三人でボカンと見詰め続けているのも、余りにバカらしい。 そんな訳で、いつの間にか当番制が確立されていた。 いつもの如くトップバッターは未来。自分の命を守る為の大事な仕事だ。 単調ではあるが、いつも真面目に仕事をこなす未来だった。 今日ものっけから、モニターの前に正座して実況中継を始めた。 「はい、11時半になりました。おや、早くもランチタイムのお客さん登場。チビデブサラリーマン男性2名が階段を降りて行きます。へい、いらっしゃい!」 モニターに映った映像を、そのまま中継すると言うそのやり方は、何も遊びで無ければ、趣味と言う訳でも無い。 彼なりに考え出した居眠り防止策に他ならなかった。ただ単調な映像を何時間も見続けていたならば、誰でも睡魔が襲ってくるものだ。 仕事を真面目にこなそうと言う、彼のそれなりの努力が伺えた。 ギー、バタン。 やがて店の扉を開ける音がリアルに聞こえて来る。あまり防音はされていない造りのようだ。 チビデブか...... イケメンと中継すれば、すぐにでも起き上がって来る麗子も『チビデブ』ではピクリとも動かない。口を開けて寝たままだ。 「はい、続いて4名様、今度はOLさんです。おっとこれは四人共凄い美人だ! おまけにスタイル抜群だ!」
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