第十三章 白昼の悪夢

10/13
前へ
/1040ページ
次へ
しかし、マスター自慢のセメントオールバックが、爆風でなびくまでには大した時間を要さなかった。 「構えっ!」 アマゾネスの甲高い声が響き渡る。 そして...... 「撃て!」 ドカーンッ!!! 「のうわぁー!」 「「うわぁー!」」 まるで大地震でも起きたのか? それとも巨大隕石でも降って来たのか? 広大な戦場で放たれたとしても、とてつもない衝撃を誇るバズーカ砲が、この狭い地下の店内で撃ち放たれたのだ。しかも至近距離で。その衝撃は想像を絶するものがあった。 密室とも言えるその小さな空間は、小石やら粉塵やらが見事に宙を舞い、それらが雹の如く頭の上に降り落ちて来る。 バサバサバサ! 「痛い、痛い!」 つい先程まで、景気良くオールディーズを奏で続けていた古臭いジュークボックスは、いつの間にその明かりを消していた。 見れば瓦礫に埋まっている。エマが見たら大層ショックを受けるに違いない。 そして...... いく筋もの鉄筋が埋め込まれた厚さ30センチの対テロ垂れ壁は、無惨にも大きな風穴が開けられていた。 1、2、3、4。 全く同じ身なりに全く同じ顔のアマゾネスは、全く同じ動きで縦一列になり、全く同じステップで壁をまたいで入り込んで来る。どう見ても軍隊アリにしか見えない。 こいつらは本当に人間なのか? この光景をまともに見たら、誰もがそんな疑問を抱くに違いない。 心を持たない冷酷殺人マシーン...... もし彼女らを例えるといたら、正にそんなコピーが一番しっくりとくるのかも知れない。
/1040ページ

最初のコメントを投稿しよう!

365人が本棚に入れています
本棚に追加