第十三章 白昼の悪夢

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二人のサラリーマンは、頭を抱え恐怖に戦いている様子。ランチを食べに来てバズーカ砲の洗礼とは不運にも程がある。 マスターは秘蔵の短銃を汗ばむ手で握り絞め、鋭い視線を4人に向けていた。このクールな男がここまで狼狽えるのは珍事と言えた。 タッ、タッ、タッ...... タッ、タッ、タッ...... そんなマスター達の緊張を他所に、軍隊アリはただ前を見詰め、うずくまる3人の前をすらりと通過。全く視界に入っていない様子だ。 こっちに対して敵意は無いのか? そんな平和な空気が、3人の頭の中を吹き始めたその時だった。 ピタッ。 !!! なんと最後尾に続いていた一人が、突然その動きを止めた。 なっ、何で止まるの?! 嫌な予感がする...... 凍り付く空気の中、3人はゆっくりと顔を上げた。 するとその者は腰に手を当て、モデルポーズで仁王立ち。 無表情なその顔の中心に位置する二つの細い目は、まばたきすらせずに、こちらへ向けてられているではないか! 「お前達は何者なんだ?! 一体何しにやって来た!」 マスターは震える手で銃口をその者に向け、取りあえずは叫んでみた。 そんな質問を投げ掛けたところで答えるとも思えなかったが、きっと沈黙に耐えられなかったのだろう。なんとなく解る気もする。
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