第十三章 白昼の悪夢

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すると...... 「客でなくて、悪しからず」 タッ、タッ、タッ...... タッ、タッ、タッ...... その者は一言だけそう言い残すと、先へ進む3人に続き、事務所の中へと消えて行った。 『EMA探偵事務所』 内側にそんな小さなステッカーが貼られていた重厚な鉄扉も、今はその姿をくらませている。 未だ粉塵が舞う煙幕の下にでも転がっているのだろう。 見渡せば事務所の中は瓦礫の山。ロッカーはその全てが倒れ落ち、憩いの場とも言えた応接ソファーはその下敷きとなっていた。 棚の上に置かれた『導きの三姉妹』なる南米少女の人形達は、悲しげな表情を浮かべ4人のクラッシャーを見詰めている。 「......」 「......」 「......」 「......」 破壊尽くされたその空間は正に『静』の世界。 『動』と呼べるものは皆無。そしてそこに倒れているはずの三人の姿はどこにも無かった。
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