第十三章 白昼の悪夢

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「早くコッチです! ホラ、麗子さん走って!」 「ちょっと待ちなさいよ。靴も履いてないんだから!」 「なっ、何なんだあいつら! アマゾネスって言ってたけど......」 『EMA探偵事務所』......そこに駐屯する輩は、常に危険と隣り合わせ。 あらゆる危険を回避出来るだけの構造には造られていた事務所では有るが、厚さ30センチの防御壁を一撃で打ち破られるとは思いもよらず。 よもや白昼の繁華街のど真ん中で、堂々とバズーカ砲を打ち込まれるとは、夢にも思っていなかった訳だ。 まさか拠点を棄てて、地下壕から尻尾を巻いて逃げ出す事になろうとは...... エマより留守の守護を命じられていたポールは、慚愧に耐えない様子。 まぁ......でもこれは誰が守っていたとしても、守り切れるようなものでは無い。 今三人が五体満足でいれるだけでも良しとするべきでは無かろうか。 「さぁ、ノッテ!」 ポールは自慢の四駆に二人を乗せると、いち早くエンジンを掛けた。 ブルルン! 「どこに行くのよ!」 「......」 麗子の問い掛けにポールは無言。 正直、決まっていない。ただこの場から一刻でも早く離れる事しか考えていなかった。 白昼の繁華街を、蒙スピードで走り抜けて行く大型四駆車両。 そして、 ピーポー、ピーポー...... 気付けば、四方至る所から集まってくる救急車やら、パトカーやら。 そんな緊急車両を横目で見ながら、にこやかに会話を楽しむ4人のOL集団。 「あーお腹すいた! あたしパスタ食べたーい」 「あっ、あそこ、この間テレビでやってたお店だよ! うわー並んでる......」 「よし、並ぼう!」 「えー、うそー、マジー?!」 今時のOL四人衆は、頭から被った埃をパンパンと叩きながら、一目散に噂のパスタ店へと駆け出して行く。 日常と何ら変わらない新宿の繁華街の光景だ。一つのBARと事務所が崩壊している事以外は......
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