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「おい、日本にこんな大きな洞窟あるって知ってたか?」
「さぁ......」
「俺っ、知らないッス」
洞窟の入口こそは、これぞ大自然! と唸らせる程の非人工的装いとも言えたが、中に入ってしまうとその景観は一変し、全てが近代的。
路面は綺麗にコンクリート舗装され、それまでのデコボコ感が嘘のようだ。
等間隔に設置された照明は全てLED。その明るさは洞窟内を洞窟内と思わせない。
たかが200メートル程進んだだけの話ではあるが、この先のアンタッチャブルな空間が、いかに近代的なものであるかが計り知れる。
更に進む事100メートル......
やがてその道は行き止まりに差し掛かった。
突き当たりだ......
ここが荷下ろし場か......
「はい、オーライ、オーライ......」
それまで井戸端会議をしていた作業着衆がトラックの到来に気付くと、突然仕事を始め出す。
キー。
誘導員の指示する場所にトラックを停止させると、作業員達は重機を持ち出し、次々と荷台のゴム板を下ろし始めた。
「皆さん寒いのにご苦労さんだね。因みにこんなに沢山のゴム一体何に使うんだ?」
圭一はトラックから降りると、いかにもフレンドリーに話し掛けていく。
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