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「どうぞご自由に..,..」
圭一はそんな美緒にはお構い無く、気付けばイビキを掻き始め、すでに夢の世界に旅立っていた。
ガー、ガー、ガー......
そんな無邪気な圭一の寝顔を横目で見詰めながら、遅れて防寒具をまとい始める美緒。
............
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「しょうかないわね」
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「今日だけよ」
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何がしょうがないのかはよく解らない。
美緒は圭一の腕を枕代わりにして、寄り添うように身を委ねた。
スー、スー......
気付けば一瞬にして美緒も夢の中。
無理もない......
ももが誘拐されてからと言うもの、二人、取り分け美緒に至っては、殆ど睡眠らしい睡眠を取っていなかった。
昼夜を問わず捜査を続けていた事に加え、娘を誘拐された母の心境を考えれば、悠長に睡眠など取れる訳も無かった。
ガー、ガー、ガー......
スー、スー、スー......
イビキと寝息の大合唱は真冬の樹海の森に響き渡る。
目を覚ました後、次はまたいつ寝れる時が来ることやら......
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